No.5/そうぐう。





新井田 生は考える、今何が起こったのか。

これは夢だと自分に言い聞かせながらゆっくりと目をあけた


彼の目に映ったのは血で真っ赤に染まった部屋・・・



ではなく、目の前には木々が生い茂っていた。



「なんだ・・・コレ?・・・外?」


そこは今までいた部屋とは明らかに違った


しかし新井田はハッキリと覚えている、


そうだ・・・アイツは・・・頭が爆発し・・たんだ・・・
うぅっ・・・ぇ

思い出しただけで吐き気がしてくる
夢だとは思えなかった


「アレッ?」



自分が手に何か持っていることに気づいた


「これっ・・・あ・・・銃、服・・・」


思い出した、全身タイツに無理やり持たされたんだ


これがあるということは今まで起こったことは全て現実

しかもこれが全身タイツの言う「移動」ならば、まだ終わってない


これから宇宙人と闘わなくてはならない


頭の中は一気に恐怖で埋め尽くされた


そのとき木々の間から何かが動くのが見えた



・・・・・!!?


そのうごめく何かに見覚えがあった
間違いない
あの玉に映しだされていた

はずかしがり星人。

暗くて良く見えない
しかし、明らかにおかしい

頭がスキンヘッドでチャイナ服を着ておかしな動きをしている
そして何かブツブツ言っている


それだけならただのヘンタイで通じるが
ヤツの目にモザイクがかかっている


黒い線が目を隠すように浮いている、まるでテレビのように


良く聞けば声も以上に高くヘリウムガスを吸ったような声だった

「来るなってば、来るなってば」


声がこちらに近づいてくるのを感じ


新井田は身体を縮めて隠れた


「はぁっ・・・はっ・・」


なんだよアイツ、なんだよアイツはっ!!? あの玉に映ってたヤツだ・・・

あれは・・・人間じゃない、本物の・・・う・・宇宙人っ・・!!?

怖い怖い怖い怖い


「・・・来るなってば、来るなってば」


ガサッガサッ



足音と声がもの凄く近くまで来ている


気づくなっ、気づくなっ、通りすぎっ・・・ろ!!



ガサッ・・・・



足音が止まり声もしなくなった



・・・・!?・・・どっか行ったのか?
・・・助かった・・・・




そう思ったら、目の前にいた

はずかしがり星人が、目の前に


「見るなって、見るなってばっ!!!」




「あっ・・・ぅ・・」

あまりの恐怖で声も出ない、身体も動かない、何も考えられない


見るなぁああっっ!!!来るなぁぁああ!!!


いきなりも低く太い声で叫びだし

両手を上げ、ツルツルの自分の頭に乗せて


そのまま走り去った



それを見た新井田は意識を失い、その場に倒れこんだ。





・・・・・・オイ・・・・オイ!」


「しっかりしろ・・・・大丈夫かっ!!?」


「・・・・・あ・・・ん?」

オレ・・・・生きてる!!・・・助かったのか・・・っていうか夢だろ


しかし新井田の目の前には全身タイツがいた

どうやら助けてくれたようだ


またコイツか・・・ってことはアレは夢じゃない・・・・


「しっかりしろっ!!!」
新井田の肩を揺らしながら声をかける


「あ・・・大丈夫・・・だから」



「この辺で叫び声が聞こえたから・・・おそらく星人の・・・」

「あっ・・・アイツは、なんなんだよっ・・・いきなり出てきてっ・・・」
「アレが・・ホントに、宇宙人っ・・・?」
まだ自分の見たものが、現実だとは受け入れられない新井田


そんな新井田に黒タイツの男は言う
「・・・信じられないと思う、でも・・・キミが見たのは多分、宇宙人だ」
「それに・・・そいつを倒さないと、俺達は帰れない」



嘘を言っているようにも思えない、それに実際に見てしまったから


日常生活からかけ離れたこの状況、
平凡な生活の中に、今まで気づいてないだけで、こんなことが起きているなんて

信じられないが、コレが現実。




平凡な生活からの離脱、




期待以上の展開に、新井田は無意識の中に、喜びを感じていた。




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